ご挨拶

 

 はじめまして。

 研究室を主宰する中澤です。

 

 私は元々虚弱な体質ですべてが気怠く、人生は常に陰鬱でした。強くなることに憧れていましたので、学生時代には格闘技にチャレンジしましたが、技術は進歩しても心身はどんどん不調になりました(バランスを欠いた鍛錬が原因と思われます)。小さな大会で上位入賞したこともありましたが、結局続けることはできませんでした。

      

 就職後は希望の職種に配属されず毎日が苦痛でした。葛藤しながら仕事の成果を出し続けましたが、拘束時間が長く心理的な緊張が強いられる激務でしたので、とうとう重度のうつ病になりました。長期休職を余儀なくされ、会社員としてのキャリアは絶たれました。復職後もうつ病の身体症状に悩まされ、服薬しながら常に再発に怯えていました。

 

 そうした中でも強くなりたいという気持ちは残っていました。何度か武道を再開してみたのですが、心身ともにボロボロで強度の高い運動は困難。また挫折です。気持ちだけあっても体力も気力もついていきません。毎日の残業もあります。

 

 もはや諦めも極まった心境でしたが、悪あがきで自分なりに工夫した軽い運動を継続しました。何も期待していなかったのですが、徐々に気力も体力も充実していきます。一生続くと覚悟していた通院・服薬が終了。思いもよらぬことに驚き、生まれてはじめて身体の大きな可能性を実感しました。

 

 その後、縁あって中心練修会に参加。強健術は複数の指導者に習ったことがあったのですが、研究すればするほど気分的に追い詰められていく感じがあり、正直うんざりしておりました。

 

 もう強健術に関わるつもりはなかったのですが、三宅琢也先生の人間的魅力に惹かれて参加を続けました。強健術に対する感情は冷えきったままで。これが三宅先生の体技を純粋に考察していくことにつながりました。現在もこのスタンスは継続しています。

 

  いつしか中心練修会では指導員を務めるようになりました。ここに集まってくるのは普通の運動が成り立たないような困った人ばかり。そんな彼らが明るくなったり健康を取り戻したりするのを間近で見ました。自分のつまらない経験も指導の役に立ちました。

 

 中澤研究室では気力体力に自信がない方が取り組めるように中心練修会の技法を再構成しました。強健術の指導はありません。極意や深淵な境地より優先されるものがあると思っています。趣旨に賛同いただける方の参加を心よりお待ちしております。